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(c)亜城木夢叶


どうも、衣鳩久哉(@denshovato)です。

PCP -完全犯罪党- を読みました。

「バクマン。」は劇中作のノベライズに果敢に挑戦していて、
ラッコ11号 番貝編 闘え!平帆水産株式会社第一宣伝部部長なんかもあるわけですが、
作品の味を失わずに、さすがのクオリティで仕上がってるんですよね。

で、この小説版のPCPは、結成まもなくの話だからか
『完全犯罪』にはあまり重きが置かれていないように感じます。


しかしですね


小学生版「孫子の兵法」とでもいうべき内容になっていて、
古典の活用方法の勉強になったんですよ。

※記事の性質上、作品のネタバレを含みます。




アマゾンの紹介:
内容紹介
【「バクマン。」よりスピンアウト小説登場!】小学生三人組で結成された闇組織[PCP] 目的は誰にも気付かれず、秘密裏に“完全犯罪”を遂行すること。ただし、人に迷惑をかける行為は厳禁! そんな彼らが真夏の孤島で体験した驚愕の“頭脳・体力トライアル”とは…!? “伝説”のWJ大人気コミックをミステリーの“名手”が小説化!!
 
内容(「BOOK」データベースより)
小学生三人組で結成された闇組織「PCP」。目的は誰にも気付かれず、秘密裏に“完全犯罪”を遂行すること。ただし、人に迷惑をかける行為は厳禁!そんな彼らが真夏の孤島で体験した驚愕の“頭脳・体力トライアル”とは…!?“伝説”のWJ大人気コミックをミステリーの“名手”が小説化!!


主人公・道本真とライバルである明智正臣の対決がメインのひとつなんですが、
互いに手にしている情報(孤島でのゲームの指示書の内容)を明かす場面があります。

どう考えても、情報を開示せずにゲームを進めたほうがよさそうなものなのに、
悪用されるリスクがあっても、情報を知るメリットを選ぶわけなんですね。

なぜかというと、ただしい情報を掴んでいれば、交渉や計略を駆使できるからです。
勝てるかどうかは別として、絶対的に危険な局面を避けることができます。

これって、つまり

彼を知り、己を知れば百戦殆からず


という孫子も用いた方法なんですよね。 

もちろん真も明智も自分が勝つつもりでいたでしょうけど、
孤島でのルール上、勝算がない可能性もあるわけで。
『より損失の少ない負け方』に持ち込むためにも、共有したのではないでしょうか。


最終的に真は他チームの協力を得て明智に勝利しますが、
これは真が他のチームの心を掴むのがうまかったからですね。

孫子も、

赤子を見るように世話をすれば、兵は危険な場所にもついてくるだろう


と言っています。

実際に真のチームは、本来は有料で引き受けてもいい労働を無償で買って出ていました。
これが後々の協力を呼ぶわけです。自分ひとりでは勝てていなかったでしょうから、
仲間の心をつかむことがいかに重要か、ということがわかります。

学費の免除という交渉材料を巧みに使ったのも見逃せないポイントですね。


また、真が明智に勝ったポイントも、孫子の兵法に当てはまっています。

それは、

善く守るものは、九地の下に隠れ、善く攻むる者は九天の上に動く


ということ。

つまり、悟られずに動く。

真は孤島でのゲームに勝利するために、策略を練っていました。

もちろん明智だって警戒したわけですが、
あまりにも活動(勝利にはお金を稼ぐことが必要なのに、その様子なし)しなかったので、
手が打てませんでした。

実際は他チームと交渉をしましたが、動きを把握させずに徹底的に身を隠していたため、
真が攻撃に転じたときには明智が手を打てる状態ではなく、一気に片がついたのです。

最後に

『PCP』が、孫子の兵法を意識して作られているかは定かではありませんが、
古典の物語の応用、また古典の実生活への活用方法がわかる良書でした。

ごちゃごちゃいいましたが、小説として純粋に楽しむだけでも買いだと思います。



PCP -完全犯罪党- (JUMP j BOOKS)
亜城木 夢叶
集英社
2015-10-02